[解説・意味]
グリーン・デイの8枚目のアルバム『21世紀のブレイクダウン』から、1分に満たないオープニング曲とそれに続くタイトル曲(兼4枚目のシングルカット曲)をセットでお届け。
前作『アメリカン・イディオット』の大成功によって、多大なプレッシャーと葛藤を抱えての制作を余儀なくされたバンドが、5年後の2009年に発表したアルバムは、前作の延長とも言える方向性で、同じように組曲が収録されたコンセプト・アルバムになった。
前回のテーマは「反戦・反体制」だったが、今回は「現代社会における若者の苦悩、戦争による混乱、政治への不信」といったところで、テーマも同様に変化はほとんどない。
今作の男女二人は『American Idiot』の主人公(Jesus Of Suburbia)とWhatsernameの関係性とも似ているので、ミュージカルではこのアルバムからの曲も使用されていて、違和感も特にない。
といった感じなので正直なところ、どうしても前作との比較は避けられず、パンク感・尖りが物足らず、置きに行ったわけではないだろうけどやはり前作と比べればインパクトは薄く、社会派バンドの無難な一枚といった印象。一番悪い表現をするなら、焼き増し。前作が素晴らしすぎたが故にね。
多分「The Saints Are Coming」で共演したU2の影響もあると思う。要はパンクロックというより、アリーナロック寄り。
売上も評論家による評価も前作には劣る結果となった。とはいえ、グラミー賞の最優秀ロック・アルバム賞は受賞したし、シングルカットされた曲のクオリティは高い。うん、悪くはないアルバムなんだよ。
1曲目やその後の曲にも出てくるinto that goodnightというフレーズは『インターステラー』でも引用されていたディラン・トマスによる詩「Do not go gentle into that good night/穏やかな夜に身を任せるな」を想起させる。
怒りや立ち向かうことの重要性を説く詩とアルバム内での主張には通じるものがあるし。
2曲目は主人公クリスチャンの自己紹介のような歌だけど、同じくニクソン政権下に生まれたビリー・ジョー・アームストロング自身が投影されているのは間違いない。アルバムの舞台はミシガン州デトロイトだけど。
ワーキング・クラス・ヒーローはバンドが以前カバーしたジョン・レノンへの言及であり、ブルース・スプリングスティーンの「Born To Run」を匂わせるフレーズもあったりと小ネタも多い。
後半のclass of 13は2013年に高校を卒業する世代で、おそらくこれはビリ―の息子であるジョーイ・アームストロングのこと。若い世代を象徴するフレーズとして組み込まれたのだろう。
要するにこの歌は、政治も宗教も信じることができない若者による、崩壊しゆく自国への絶望、新時代への悲観が歌われた歌。
[日本語訳]
ソング・オブ・ザ・センチュリー
世紀の歌を歌ってくれ
爆弾や永遠よりも大きな声で
停滞と密輸品の時代が
俺たちを約束の地へと導いている
キャンドルの灯りのもとで話を聞かせてくれ
戦争を仕掛けたり 戦いに敗れる物語を
彼らは世紀の歌を奏でている
恐怖と約束 そして繁栄
穏やかな夜へと物語を聞かせてくれ
俺のために歌ってくれ
トゥエンティファースト・センチュリー・ブレイクダウン
ニクソンの時代に生まれ 地獄で育った
労働組合員どもが暮らす地域の福祉施設の子どもで
一番最後に生まれ 一番最初に逃げ出した
製油所の太陽で目が眩んだような町だった
俺たちの世代はゼロだ
俺は労働者階級の英雄にはなれなかった
21世紀の崩壊
かつて道に迷っていたが行き先が見つかることはなかった
心の中に残ったものさえ失われている気がする
20世紀の終焉へと向かうにつれ
俺は毒と血で作られている
糾弾こそが俺が理解したもの
ビデオゲームからタワーの崩壊まで
国土安全保障によって俺たちは皆殺しにされてしまう
俺たちの世代はゼロだ
俺は労働者階級の英雄として生まれたわけではなかった
21世紀の崩壊
かつて道に迷っていたが行き先が見つかることはなかった
心の中に残ったものさえ失われている気がする
20世紀の終焉へと向かうにつれ
俺たちは13年世代
謙虚の時代に生まれて
衰退の中で絶望する者たち
1969年生まれのろくでなしどもに育てられた
俺の名は何者にもあらず 長らく行方知らずだった息子だ
7月4日に生まれ
英雄と詐欺師の時代に育った
そいつが俺を生きる屍に変えたんだ
俺は一つの国家であり 誇りある労働者だ
現状維持への負債
この手に残る傷跡と目的達成への手段
それが俺が示さなければならないすべてだ
誇りを飲み込んで 信仰に喉を詰まらせた
我が心と我が魂を捧げた
指を折っては 白々しい嘘をつき続けてきた
被害を抑えるための柱だったんだ
限界を迎えた俺は
墓の上に残されていた花束を投げ捨てた
待合室に座って時間を消費しながら
最後の審判の日を待ち続けている
俺は自由を称賛する
だが「従う自由」こそが
俺の首を締める歌だ
おっと 一線は越えるなよ
夢を見ろ アメリカよ 夢を見ろ
俺は眠ることさえできない
夜明けの光のせいで
叫べ アメリカよ 叫べ
己の目に映るものを信じよ
英雄と詐欺師から?
[Lyrics/歌詞]
Song Of The Century
Sing us a song of the century
That’s louder than bombs and eternity
The era of static and contraband
Leading us into the promised land
Tell us a story that’s by candlelight
Waging a war and losing the fight
They’re playing a song of the century
Panic and promise and prosperity
Tell me a story into that goodnight
Sing us a song for me
21st Century Breakdown
Born into Nixon, I was raised in Hell
A welfare child where the teamsters dwelled
The last one born, and the first one to run
My town was blind from refinery sun
My generation is zero
I never made it as a working class hero
21st century breakdown
I once was lost but never was found
I think I’m losing what’s left of my mind
To the 20th century deadline
I was made of poison and blood
Condemnation is what I understood
Videogames to the tower’s fall
Homeland security could kill us all
My generation is zero
I never made it as a working class hero
21st century breakdown
I once was lost but never was found
I think I’m losing what’s left of my mind
To the 20th century deadline
We are the class of, the class of 13
Born in the era of humility
We are the desperate in the decline
Raised by the bastards of 1969
My name is no one, the long lost son
Born on the 4th of July
Raised in the era of heroes and cons
That left me for dead or alive
I am a nation, a worker of pride
My debt to the status quo
The scars on my hands and the means to an end
It’s all that I have to show
I swallowed my pride and I choked on my faith
I’ve given my heart and my soul
I’ve broken my fingers and lied through my teeth
The pillar of damage control
I’ve been to the edge and I’ve thrown the bouquet
Of flowers left over the grave
I sat in the waiting room wasting my time
And waiting for Judgment Day
I praise liberty
The “freedom to obey”
Is the song that strangles me
Well, don’t cross the line
Dream, America dream
I can’t even sleep
From the light’s early dawn
Scream, America scream
Believe what you see
From heroes and cons?