[解説・意味]
ソフィア・コッポラの映画が好きでよく観るんだけど、『ロスト・イン・トランスレーション』でスカーレット・ヨハンソンがタクシーの車窓から夜の東京のネオン街を眺めている場面で、この曲が流れるのは彼女の映画の中でも最も気に入っているシーンの一つ。
作中のどこか気怠げな空気感、言葉の通じない異国の地での孤独感、東京という必要以上に眩しくてある種乱雑で滑稽な街の風景と、この曲が持つ曖昧さや浮遊感が見事にマッチしていると感じた。
そもそもサントラ担当がケヴィン・シールズだし、映画とマイブラ(ラブレス)がリンクするのは自然ではあるんだけどね。
サウンドは不快さをまったく感じさせないフィードバックギターによるノイズと囁くような歌声と共に聴こえるザクザク鳴っているアコギが最高に心地良い。
でも歌詞の意味はどう捉えていいのか悩ましい。終わってしまった愛だけど、いつかはまた一緒になれると信じている。そういう歌なのかな。ほとんど諦めていて、後は現実を受け止めるだけという風にも取れるけど。
おそらく制作当時のケヴィンがそうした状況下にいたのだろうが、破綻した恋愛関係を想起させる歌詞は多い傾向にある。
タイトルが「sometimes」(=時々、たまに)になっているのも疑問だ。
様々な解釈ができるが、とりあえずこの曲が『loveless』(初期の邦題は、愛なき世界)の中心であり、その「愛のない」というアルバムタイトルにも関連性があるのは感じる。
世界でたった一人の大切な存在として出会い、愛し合っていたのに、何かを掛け違えて、傷つけ合う二人になってしまった。あの頃確かにあったはずの愛はもうない。それを時に思い出すのか。
[日本語訳]
瞳を閉じて 思いを巡らす
どうして君が僕を愛してくれなくなったのかわからない
あからさまな彼女の態度
でもこの先に僕は真の愛を育みたい
隠れたりなんてできないよ 僕のこの想いから
音に意識を傾けて
横になって考えてみてもわからない
愛するということがどれほどの痛みなのか君も気づくだろう
知らなかったよ 世界が愛に包まれていたなんて
今に君はわかってくれるさ 僕のこの想いを
君は僕が去るのを待つのだろう
一人になることを選ぶのなら構わない
僕の視線が泳ぐのも待つはずだ
隣にいる君を抱きしめるとき
僕の本当の考えを知るために
瞳を閉じて 思いを巡らす
わからないよ でもきっと君はもう僕を傷つけることはできない
ここで独り僕も落ち込んでいて
この先で君のために真の愛を待つから
隠れたりなんてできないよ 僕のこの想いから
今に君はわかってくれるさ 僕のこの想いを
[Lyrics/歌詞]
Close my eyes, feel me now
I don’t know how you could not love me now
You will know, and her feet down to the ground
Over there, and I want true love to grow
You can’t hide, oh no, from the way I do
Turn my head into sound
I don’t know when I lay down on the ground
You will find the way it hurts to love
Never cared, and the world turned hearts to love
You will see, oh now, oh, the way I do
You will wait, see me go
I don’t care, when your head turned all alone
You will wait, when I turn my eyes around
Overhead, when I hold you next to me
Overhead, to know, oh, the way I see
Close my eyes, feel me how
I don’t know, maybe you could not hurt me now
Here alone, when I feel down too
Over there, when I await true love for you
You can’t hide, oh no, from the way I do
You can see, oh now, oh, the way I do