解説/Interpretation
カート・コバーンがショットガンで自分の頭を撃ち抜いて自殺する数ヶ月前に、バンドとして最後にレコーディングした曲。
しかしこの曲がリリースされたのは自殺した1994年から8年も経った2002年。
その理由はボックスセットに収録したいバンド側と、ベストアルバムとして販売したい妻のコートニー側+レコード会社側との間で法廷までもつれ込む衝突が起こったから。
最終的にはスタジオ音源がセルフタイトルのベストアルバム1曲目に、ボックスセット『With The Lights Out』にはこの曲のデモ音源が収録された。
そして、この「You Know You’re Right」は妻のコートニー・ラブ(ホール)に向けて書かれた曲とされている。(真相はわからないが、多くの人間がそう思っている)
ロックスターらしい破天荒なエピソードもカートには沢山あるけれど、彼は劣悪な家庭環境にあった子供の頃から変わらず、繊細で傷付きやすい少年・青年だったんだと思う。
成功したことによる環境の変化、増した重圧、それらから逃れるためのアルコールもドラッグもすべてが悪い方向へと繋がってしまった。おそらく望んでいなかった結婚でさえも。
コートニー・ラブは妻でありながら、心の支えではなく対立相手であり、カートを自殺まで追い込んだ張本人として考えるドラム、デイヴ・グロール(現フー・ファイターズ)は今でも彼女に怒りを持っていて、その気配を感じさせる曲がいくつか存在する。
しかしど派手なコートニーを選んだのはカートだし、それが彼の人生だった。
サビはひたすらPainとYou know you’re rightを繰り返すだけなのに、ここまで魅力的な曲を作れる才能を持っていたカートは27歳で自殺したこともあり(27クラブ)、神格化されているけど、カート自身はそんなことは望んでいなかったというのがまた皮肉。
だが後続のバンドに与えた影響はもちろん、同世代のミュージシャンからの評価も高く、オアシスのノエル・ギャラガーは「(自殺しなければ)俺たちの時代のジョン・レノンになれた」といった発言までしている。
彼が生きていたならその後どんな楽曲を制作していたのか、想像することしかできないのが悲しい。
Let’s talk about someone else/Steaming soup against her mouthの部分だけはおそらく当時1才か2才だった娘のフランシス(・ビーン・コバーン)について。
自分と同い年(1992年生まれ)の彼女が去年結婚したニュースを見たけど、両親から愛されているヴァイオレット・グロールとは育った環境が違い過ぎるよな⋯と考えてしまった。
多くの人にとっては、怒りに震える天才が命の灯火を自ら吹き消そうとしているのを感じる悲痛な歌。デイヴにはカートが泣いているように聴こえるらしい。コートニーにとっては呪いの歌に違いない。
日本語訳/Translation
もう俺がお前の邪魔になることはない
約束することも絶対にない
従うことも絶対にない
俺がお前の邪魔になることは決してない
二度と言葉を発さず
これを最期に這って消えるさ
俺はここから消え去る
お前が恐怖に怯えることはなくなるだろう
この事態を想定していたわけではないが
こうなることはずっとわかっていた
これほど込み上げてくることはなかった
俺はしくじり損ねたことがない
痛み
痛み
痛み
お前が正しいんだろ
お前が正しいんだろ
お前が正しいんだろ
心の中は温かく落ち着いている
もはや隠れる必要がないから
他の誰かの話をしよう
小さな口元で湯気を立てるスープ
これで彼女を邪魔するものはなくなる
彼女はただ自分が愛おしいだけ
俺はここから消え去る
お前が恐怖に怯えることはなくなるだろう
この事態を想定していたわけではないが
こうなることはずっとわかっていた
これほど膨れ上がったことはなかった
俺はしくじり損ねたことがない
苦痛
苦痛
苦痛
ああ お前が正しい
お前が正しい
お前が正しい
苦痛
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I will never bother you
I will never promise to
I will never follow you
I will never bother you
Never speak a word again
I will crawl away for good
I will move away from here
You won’t be afraid of fear
No thought was put into this
And always knew it would come to this
Things have never been so swell
I have never failed to fail
Pain
Pain
Pain
You know you’re right
You know you’re right
You know you’re right
I’m so warm and calm inside
I no longer have to hide
Let’s talk about someone else
Steaming soup against her mouth
Nothing really bothers her
She just wants to love herself
I will move away from here
You won’t be afraid of fear
No thought was put into this
I always knew it’d come to this
Things have never been so swell
I have never failed to fail
Pain
Pain
Pain
You know you’re right
You know you’re right
You know you’re right
Pain


